自主事業アーカイブ

アウトリーチ「打楽器アンサンブル」

10月26・27日(火・水)に行われました。
講師は、パーカッショングループ「Rim(リム)ictus(イクトゥス)」の本間美恵子さんと倉澤桃子さん。
お二人とも、新潟を拠点に演奏活動や打楽器指導をされています。
11時、打楽器を車いっぱいに積み込んだ2台の普通車が上越文化会館に到着。
倉澤さん、本間さんと合流です。
それでは出発!

10月26日(火) 黒田小学校

11時30分、黒田小学校に到着。
まだ授業中の体育館。積み下ろさなくてはならない楽器がたくさんあったため、邪魔にならないよう静かに搬入しました。
授業が終わった子供たち。興味津々にぞろぞろと搬入口に集まってきます。
「なにしてるの?」「これなに?」質問攻めに、笑顔で答えるお二人。
あとは、給食の後のお楽しみですよ!

楽器を組み立てると、念入りにリハーサル。
13時10分。あと10分で子供たちが入場です。

13:40開演。

「この楽器は何でしょう。」
「小太鼓!」
元気な答えが返ってきました。
「そうです!小太鼓の仲間、“スネアドラム”と言います。裏面に響き線(スネア)が張られていて、スイッチを切り替えることで音色を変えることができるんですよ。」
響き線が張られていると「トンッ」と乾いた音。スイッチをカチャッと切り替えて響き線を緩めると「ザンッ」と粒の細かい音。同じ楽器なのに全く違う音色がします!
二つのスネアドラムから生まれる軽快なリズム。子どもたちはキラキラした目でじっとお二人を見つめていました。

お二人の後ろにある大きな楽器は木琴の一種である「マリンバ」。
学校の音楽室にある木琴(シロフォン)よりも大きく、やわらかい音がします。
本間さんが木の鍵盤楽器を持ってきました…マリンバの祖先である、アフリカの楽器「バラフォン」の紹介です。
「この丸い部分はひょうたんをくりぬいたものです。この楽器がアメリカに渡り、ひょうたんの部分が金属のパイプになって、今のマリンバの形になったんですよ。」

子どもたちから花束をプレゼントされたお二人。 最後はみんなで記念撮影をしました。
パシャリ!

片付けをしている時も、ランドセルを背負い黄色い帽子を被った子供たちが声を掛けてくれました。
「さようなら!またね!」

 

ところで、どうやってあの大きなマリンバを車に積んでいるのか気になりませんか?
答えは…なんと「解体」!
マリンバはとても大きな楽器なので、長距離の移動のことを考え、解体を前提に設計されています。
「音盤(鍵盤)」「パイプ」「枠組み」などに分けられるため、それぞれ丁寧にケースに入れたり毛布で包んだりして梱包。ちゃんと荷台に入るよう、パズルのように車へ順序良く積んでいきます。

さて、次の会場へと出発です。

菱田町内会

稲刈りの終わった田んぼに、白く大きな鳥が2,3羽…白鳥のようです。食事中でしょうか?
そんな彼らの横を通り抜けると、見えてくる街並み。菱田町内会館、到着です。
町内の皆様にも手伝っていただきながら、会館の二階へ楽器を搬入しました。

鉄琴の一種「ビブラフォン」。パイプの中にある羽を電動モーターで回すことで、音を揺らしてビブラートをかけることができます。
「ビブラートがかかると2割増しで上手に聞こえるんです!」本間さんが笑います。

19時開演。
新潟の海を題材にした「砂山」の演奏では、「オーシャンドラム」という波の音を再現することのできる楽器が登場。まるで本物のような波の響きに、感嘆の声が溢れました。

マリンバとビブラフォンが心地よく響きあいます。
秋の夜長の特別なコンサート。たっぷりとお楽しみいただけました。

10月27日(水) 中郷小学校

8時40分頃、到着。学校の先生方にお手伝いいただきながら、楽器を積み下ろしました。

10時半開演。
2台のマリンバの見事なコンビネーション。体育館にハーモニーが響き渡ります。
続いての曲は「アフリカンブルース」…おや、倉澤さんと本間さんが足に何かを括り付けました。
「鈴だ!」子供たちはすぐに気が付いたようです。

溢れ出すエスニックな雰囲気。
鈴のついた足を踏み鳴らしながら、エネルギッシュに演奏されていました。

机とスプーンが用意されました…?
「普段使っているもので演奏してみようと思います!」倉澤さんはにっこり。
「ええー!」
机とスプーンが「トンカッカッ」とリズムよく鳴り響き、本当に音楽になってしまいました。

今度は段ボール!?どんなものでも楽器にしてしまう倉澤さんと本間さんに、目を大きくさせっぱなしの子供たち。
「みんなも一緒に手を叩いてみよう!私が叩いたリズムを真似してね。」
本間さんの合図に合わせて拍手の大合奏!一体感が生まれました。

子どもたちは音楽に合わせておしりをフリフリしたり、知っている曲を口ずさんだり…
ノリノリで演奏を楽しんでいるようでした。

―筆者の1人語り―

今年度のアウトリーチはこれにて終了!
6月から始まり、13の小・中学校と特別支援学校、4つの町内会へ、一流のアーティスト達による「芸術文化」をお届けしてまいりました。

元気な手拍子や笑い声、時には歌声が溢れた一年。お客様からは「やっぱり生で聴くのはいいですね。」と嬉しいお言葉を頂きました。
「芸術文化は生もの」…とは言い過ぎかもしれませんが、出演者の息遣い、空気や地面を伝わる振動、周囲の人の反応…これらに直に触れて頂くことで、より深く「芸術文化」に親しんでいただけたのではないでしょうか。

また来年も皆様のもとへ「クール便」でお届けいたします!
アウトリーチ事業への皆様のご応募、心よりお待ちしております。

文責 倉島