自主事業アーカイブ

アウトリーチ「クリスタルボウル&ゆう琴」

アーティストは、野村節子さん。
クリスタルボウルやゆう琴といった、初めて耳にする楽器による、心安らぐ公演が行われました。

7月8日(木) 三和中学校 開場13:25 開演13:45

午前10時半、朝の5時半に家を出たという野村さんが山梨から到着されました。
雨雲が垂れ込む不安定な空模様の中、三和中学校に到着し、さっそく搬入を開始。
円柱型のケースには高価なクリスタルボウルが収納されています。体育館への石段を野村さんの旦那さんがとても慎重に運び込んでいました。

13時45分、開演です。
半月の形をした弦楽器の「ゆう琴」の紹介から始まりました。
野村さんは、赤ん坊を抱くように優しくゆう琴を抱え、歌うように語り掛けます。
「ゆう琴」とは、杉・ひのき・桜などの森林の間伐材を素材に、伐採から製材、加工、デザイン、調律まで手作りで仕上げられているオリジナルの弦楽器であり、すべて一点物とのこと。
今回は、野村さんご自身がゆう琴制作ワークショップで制作された10台の「ゆう琴」が机の上に並べられ、
大きさや音色の違い、響きを一つひとつ丁寧に説明していました。

体験コーナーでは代表の12人が「ゆう琴」の演奏を行いました。
「「ゆう琴」は耳元で聴くとまた違った音色に聴こえるんですよ。」
野村さんはそう話し、子供の耳元で演奏して見せます。体験した子供は、「心が落ち着いた。」
「離れて聞いていた時とは違う音の響きがした。」と各々に感想を述べていました。

「クリスタルボウル」はその名の通りクリスタル(水晶)でできており、マレット(棒状のバチ)で優しく叩いたりこすったりすることで美しい振動音を奏でます。
初めて体感する身をも震わす響きに、子供たちは釘付けになっていました。
「地面からも響きが伝わってくるので、ぜひ横になって聞いてみてください。」
そう野村さんが話すと、さっそく横たわる子供たち。
「クリスタルボウル」をはじめ、「音叉」や「ケーナ」という縦笛などによる繊細な響きに、身体が優しく包み込まれていきます。
ゆったりと流れた時間と心を動かす演奏に、温かい拍手と共に子供たちから御礼の言葉と花束が贈られました。

終演後は、たくさんの子供たちは、ゆう琴やクリスタルボウルを観察。
「いろんな絵が描いてある。」「(クリスタルボウルは)近くで見るとでっかいな。」様々な声が聞こえてきます。
聞いている時とは違う発見があったようです。
三和中学校でのすべてのプログラムが終わるころには、ざあざあと雨が降ってきていました。
傘を差し、バケツリレーのように楽器を車に積み込みます。
道端に咲く青や紫のアジサイを横目に、次の会場がある大町へと向かいました。

7月8日(木) 大町5丁目町内会 開場18:30 開演19:00

雨が落ち着いたころ、旧今井染物屋へと到着しました。江戸時代末期に建てられた、市内に現存する町家の中でも最も古い、最大級の町家とのことでした。
16時半頃、町内会の方々が集まり、会場の設営が始まりました。
立派な看板が飾られ、客席代わりの座布団や椅子の設置が完了すると、野村さんを囲んで町家にふさわしい井戸端会議。
「ゆう琴」や「クリスタルボウル」の響きには、気持ちをリラックスさせ、ストレスを解消させる効果があるとのこと。その効果を全身で体感するために、野村さんは町内の方の横になった身体の上に「ゆう琴」を置き、静かに演奏を行います。体験後は「癒されました。日頃のストレスが消えるようです。」と会長さんは語りました。

お座敷の上に芸術品の如く並べられた「クリスタルボウル」と「ゆう琴」。
野村さんはこれらの楽器の説明をしながら、歌い、演奏を行います。
「ゆう琴」の弦には釣り糸が使われていると話すと、町内の方々からは驚きの声が。手作りならではの音の温かみを体感しました。
雨が強まる中、「クリスタルボウル」の演奏が始まります。
目を閉じながら、じっくりと聞き入る町内の方々。雨の音を忘れるほどに、神秘的な音に包み込まれました。

7月9日(金) 美守小学校 開場10:15 開演10:30

アウトリーチ「クリスタルボウル&ゆう琴」の最終日。
前日の雨に濡れた木の葉が風に揺れ、じめじめと湿気の多い朝でした。
会場には子供たちの他に、多くの保護者の方々や地域の方々にもご来場いただきました。
野村さんがゆう琴を優雅に奏で始めると、体育館の空気ががらりと変わりました。

「「ゆう琴」は弦に触るだけで演奏しているように見えるところがいいところなんです。」
試しに演奏してもらおうと選ばれたのは何と校長先生でした。
ギターの演奏が得意だという校長先生。子供たちからの期待のまなざしを一身に受けながら、ギターとはまた違った弾き心地のする「ゆう琴」の演奏を楽しまれていました。
その後、横になった身体の上に「ゆう琴」を乗せ、その響きを体験しました。子供たちは興味津々に校長先生の様子を覗き込みます。体験後、「とても気持ちが良かったです。お腹まで音が響いてきました。」と、校長先生は感想を述べ、子供たちに語り掛けていました。

公演の最後は、野村さんの「クリスタルボウル」と先生のピアノを伴奏に、子供たちで校歌を歌いました。
校歌の調に合わせて選んだクリスタルボウルを野村さんが鳴らすと、普段の校歌とは違う特別な響きが生まれます。
曲中、野村さんはシェイカーで曲にアクセントをつけるなど、子供たちとの演奏を楽しまれているようでした。
公演が終わると、代表者からお礼の言葉と花束が贈られ、野村さんは笑顔で受け取られていました。